「羽毛ふとん、どれも同じように見えるのに、なんで値段がこんなに違うの?」
店頭でよくいただくご質問です。
ラベルを見れば「ダウン93%」「1.2kg入り」など、どれも似たような数字が並びます。
それなのに、実際に掛けてみると「暖かさ」「軽さ」「肌ざわり」がまるで違う。
一体、どこにその差が生まれるのでしょうか?
1️⃣ 違いの第一歩は「羽毛そのものの質」から
羽毛には主に「ダック(アヒル)」と「グース(ガチョウ)」、
そしてさらに上質な「マザーグース(親鳥)」があります。
同じ“ダウン93%”でも、使われている羽毛の大きさや弾力がまるで違うのです。
羽毛1つひとつを顕微鏡で見ると、まるでタンポポの綿毛のような形をしています。
この綿毛が大きいほど、空気をたっぷり含み、軽くて暖かくなります。
たとえば、一般的なダックダウンが「350dp(ダウンパワー)」前後なのに対し、
良質なマザーグースでは「400〜440dp」ほどにもなります。
数字だけでなく、手で持ったときの“ふわっとした反発力”の違いは明らかです。
2️⃣ 洗浄の違いが「ニオイ」と「耐久性」を決める
羽毛は動物の素材ですから、しっかり洗わなければ独特の匂いが残ります。
しかし、これは単なる“香り”の問題ではありません。
洗浄が不十分だと、汚れや脂分が残り、時間とともに劣化や黄ばみの原因にもなるのです。
西川の羽毛は、業界基準(洗浄度1000mm)をはるかに上回る、
約2000mm以上の洗浄度を誇ります。
つまり、通常の2倍以上の時間と手間をかけて、清潔に仕上げているということ。
そのため、匂いがほとんどなく、不純物も多く除去できるので、長く使っても空気を含む力が落ちにくい。
“見えない部分にこそ価値がある”というのは、まさにこの工程です。
3️⃣ 生地とキルト構造が「掛け心地」を左右する
羽毛の中身がいくら良くても、生地が重かったり・通気が悪かったり・中の羽毛が動く(隣のマスに移動)すると、せっかくの性能が生かされません。
特に最近では「軽量生地(ポリエステル多め)」が主流ですが、フィット感やムレ感・掛け心地などを考慮するとポリエステルの割合が少ない生地をおススメいたします。
ポリエステルが多いと生地の摩擦などで静電気が起こり、中の羽毛を傷めてしまう可能性もあります。
さらに、縫い方=“キルト構造”も大切です。
基本的に「立体キルト」となりますが、縫い方によっては中の羽毛が隣のマスに動いてしまい大事な部分が薄くなり、端の方だけボリュームがあるようになります。
見た目では分からない部分ですし、5~10年後に違いが現れる場合があります。
最近では「特殊立体キルト」も多く採用されているので、実際に寝て比べたり、専門スタッフに確認することをおススメします。
西川でも上記のキルティングの他に下記の特殊立体キルトもあります。
通常、表生地・裏生地は同等の生地巾(155cm)を使用していますが、当店のオリジナル生地&キルティングは、
表生地(155cm)裏生地(170cm)と異なる生地巾を使うため、裏生地をたるませてフィット感を上げています。
オリジナル羽毛布団には【サイエンスキルト】を採用しております。
4️⃣ 数年後に現れる“差” — 耐久性とリフォーム性
羽毛ふとんは、一度買えば10年、20年と使うもの。
だからこそ、数年後に“へたりにくい”ことがとても大切です。
安価な羽毛では、数年でボリュームが落ち、ぺたんこになってしまうことも。
一方で、良質なマザーグースの羽毛は、10年経っても弾力が保たれます。
そのため「打ち直し(リフォーム)」の際も再利用でき、
結果的に長い目で見れば“経済的”でもあるのです。
実際、ふとんの新保では20年以上前の羽毛をリフォームして、
今も現役で使われているお客様もたくさんいらっしゃいます。
最近1.0kg入りの羽毛布団が増えています…
正直言って住宅環境・気温など昔と比べて異なるため、1.0kg入りの羽毛布団でも良いお客様も少なからず増えるのだとは思います。
ですが、たかが200gかもしれませんが、下記の写真で分かるように100g違うだけでこれだけ差が出ます。
※布団にするとわかりにくいですが…なぜなら、生地の重み・キルティングで1.2kg入っていてもそこまで見た目は変わりません。
これだけ違うと、1.0kgの羽毛布団も1.2kg羽毛布団も生地の容量?は変わりませんので、羽毛が少ないと中で羽毛が遊びまわって(こすれて)しまい、壊れることが多くなります。
経験上、パンパンに入っていると傷みにくいことが多いです。10年後の違いは歴然です。
※2025年時点では1.0kgも1.2kgもキルティングのマチ(高さ)を変えていない羽毛布団がほとんどです。
5️⃣ 信頼の基準 — 西川の「品質表示」の裏側
「西川の羽毛ふとんは、なぜ高いのか?」
答えはシンプルで、“誤魔化しのない数字”を表示しているからです。
業界では、ダウン率93%と表示されていても、実際は90%台前半ということもあります。
しかし、西川では93%表示なら、実質95%以上。
さらに、西川の羽毛は【トレーサビリティ】が取れているので【羽毛の種類・産地・充填量・検査方法】まで、すべて明確にされています。
数字だけでなく、「どんな羽毛をどう扱っているか」が見えること。
それこそが、長年の信頼を支えてきた理由です。
※西川は【ダウンパワー表示】をしておりません。
なぜなら良質なダウンはダウン自体が絡みあうため、暖かさは逃げにくくなり、羽毛布団自体は非常に暖かくなります。
そのため一定の水準を超えたり、特殊なダウンほど【ダウンパワー】が低くなるため、高価な羽毛布団ほどその傾向が多いのです。
なので、西川はあえて【ダウンパワー表示】をしないのです。
ちなみに、フェザーが多いとダウンパワー表示は高くなりますよ
6️⃣ 「触って感じる」ことの大切さ
羽毛ふとんの違いは、数字だけでは伝わりきりません。
実際に手で持ってみると、
ふわっと立ち上がる弾力、軽さ、そして肩口のなじみ具合がすぐに分かります。
私たちは、お客様が掛け比べできるように、様々な価格・品質・生地の羽毛ふとんを店頭にご用意しています。
比べて、触って、納得して選ぶ。それが、後悔しない羽毛ふとん選びの一番の近道です。
🐏 まとめ 〜数字では語れない“羽毛の世界”〜
同じ「ダウン93%」でも、
暖かさ・軽さ・持ちの良さ・肌ざわりは、まるで違います。
それは、見えない部分——羽毛の質、洗浄、縫製、そして誠実なものづくりの差。
だからこそ、羽毛ふとんは「価格」ではなく「中身」で選んでいただきたいのです。
ふとんの新保では、専門のスタッフが一枚一枚、
羽毛の個性を見極めながらご案内しています。
「違いを、実際に体で感じてみたい」
そう思われた方は、ぜひ一度、店頭で羽毛ふとんを手に取ってみてください。
きっと、“数字以上のぬくもり”を感じていただけるはずです。